IKEAはすごい! オレが感動した7つの衝撃

 

実はオレ、IKEAって「スウェーデン風のオシャレな家具が安く買えるお店」ぐらいにしか思っていなくて、あまり興味もなく、自分とは無関係だと思い込んでいたのね。ところが先週、ふとしたきっかけで店に足を運んでみると、もうカルチャーショックというかビジネスショックというか、あまりに自分がIKEAをなめていたことに気付いてしまったわけ。この店というか空間には、これからのビジネスを考える上で、ものすごく大きなヒントが詰まっていたんだね。

というわけで、今日は遅ればせながらIKEAの話。もちろん、オンラインじゃなくてリアルね。先日、3回目の来店を果たし、写真もたくさん撮ってきたよ。

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まずは、価格と噂の北欧風デザインの話。上の写真は今回、オレが買ったレザーチェアー。なかなかいい感じでしょ。コンランショップIDEEなんかと比べてしまうと、さすがに少々の見劣りはしてしまうけど、たとえば、この椅子の価格は23.800円。見た目よりずっと安い感じがするよね。

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これなんか、まさしく北欧風の戸棚なんだけど、どうだろうね。普通の家具屋だったら安くても10万円台ってところじゃないかな。IKEA価格は49.900円。ただし、先の椅子もこの戸棚も、IKEAの中でも高額なほう。店の中は1,000円を切るオシャレ雑貨で溢れている。

たとえば、この食器18点セット。しめて1,990円のお値打ち価格! 安いよね。しかも、その辺のスーパーで安売りしているのとひと味違って、それなりに高級感というかおしゃれ感がある。

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さて、実際に巨大なショップに足を踏み入れてみると……。とにかく広い。編集者時代に、幕張メッセなんかでやるITイベントをよく取材していたのだけど、うん、入った感じだとメッセやビッグサイトくらいあるような気がする。でもって、最初に目に飛び込んで来たのがこのフードコート。

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ここでもいきなりやってくれますよ。ホットドッグと飲み放題のドリンクバーが付いて、なんと衝撃の150円。しかも、ケチャップ、マスタードに加え、刻んだピクルスやフライドオニオンがかけ放題なんですよ。もちろん、ソーセージはスウェーデン製。これがうまいのなんの。オレなんて単品100円でもう1本おかわりしました。

そうやってホットドッグをほおばっているあたりから、「あれ? オレはいまどこにいるのかな?」なんて変な感覚が襲ってくる。これはたしかどこかで味わった雰囲気と同じなんだけど、どこだっけ? そうか、東京ディズニーランドだよ。そうなんです。IKEAのすごいところその1。

1)まるで、テーマパークに来たかのような遊び心をいつのまにか、それも自然に持たされてしまう。

でもって、こちらのテンションも上がってきたところで、入り口に向かうと……。

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いきなり、「イケアにできること」「お客さまにできること」と書かれたこのプレートに遭遇するんだね。これね、なにげなく見過ごしてしまいそうな建て前だけの言葉みたいに見えるけど、実はとてもよく考えられた表現なんだね。セルフサービスを謳うショップはIKEAのほかにもたくさんある。でも、「なぜ、セルフサービスなのか」「それによって客はどんなメリットが得られるのか」をしっかり説明している店をオレは他に見たことがない。ここに、IKEAの神髄があるんだね。すごいところその2ですよ。

2)店におけるコスト構造をオープンにし、店側と客側の役割分担をキチンと説明し、それによって得られる客のメリットをわかりやすく解説している。

「お手頃価格をいっしょに実現」なんて言われて「おお、そうなんだ」と思っていると、またしても見慣れないものに出会ってしまうんだね。お次はこれ!

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なんと、「ショッピングリスト」ですよ。キレイに印刷されたカードとIKEA鉛筆が「自由にお取りください」状態で置かれている。これだけだと最初は理解不能なんだけど、さらに進んで、こいつを見ると次第にこの店のルールがわかってくる。

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なんと、この巨大なショッピングモールは3つのダンジョンに分かれていたんだね。まず、お客は先のショッピングリストを手に取る。次に、このマップに従って歩きながら、最初のダンジョンである「ショールーム」に足を踏み入れる。ここは商品を展示しているだけのエリア。気に入ったものが見つかったら商品をカゴにいれるのではなく、ひたすらリストに棚番号を記入するだけ。次の「マーケットホール」と「セルフサービスエリア」に実際の商品が置かれているらしい。と、この辺まではなんとか理解できるというわけ。

ね、あえて「ダンジョン」なんて言葉を使ったのは、この時点でオレはすっかりゲーム気分になっていたからなんだね。リストを与えられ、マップを提示され、オリエンテーリングというかある種の冒険気分だよね。これがIKEAのすごいところその3です。

3)買い物に「ゲーム感覚」のコンテキストを取り入れることによって、通常なら体力を使って面倒なセルフサービスをワクワクするものにしてくれる。しかも、その魔法が最初の入り口に仕掛けられている。

ちなみに、ショールームはこんな感じ。

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巨大な面積の展示会場に、リビング、ベッドルーム、キッチン、バスルームなど、用途別のエリアが設けられ、まさにテーマパークといった趣だね。でね、ここにIKEAのすごいところその4があるんだね。上の写真上部の文字に注目! 「マイホームへようこそ! 21畳/35平米」と書かれているでしょ。そうなんですよ。ここにも彼らのしっかりとしたポリシーが見て取れるよね。

4)単に商品を並べるだけでなく、「ある広さの部屋をすべてIKEAの家具でコーディネイトするとこうなる」という提案をしっかり行っている。まるで、ブティックでマネキンが着ている服一式をお持ち帰りするような気分で、インテリアの知識やセンスがなくてもそれなりの組み合わせが手に入れられる。

そうしてリストがいっぱいになったころ、華やかなショールームの旅は終わり、巨大な階段が目前に迫ってくるわけだね。次のダンジョンは「マーケットホール」。ここはおもに小型、中型の製品が並ぶエリア。東急ハンズに趣が似ているけど、実は大きく異なる点がある。

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たとえば、上の写真。これは壁に取り付ける棚の部品だね。パッと見ると、すごく多くの種類があるように見えるんだけど、よーく見てみると実は棚の種類は2つしかないんだね。大型のものと小型のもの。色や形は自由に選べるけど、規格は2つだけ。そう聞くと自由度が低いように思うかもしれないけど、実際にはこれで充分。棚の構造がいたってシンプルだから、棚板が自宅のスペースにフィットしなければ、のこぎりで切ってしまえばいい。

実際に購入してみるとわかるのだけど、もしここにありとあらゆるサイズの棚板や留め具があったら、選ぶのめちゃくちゃしんどいんだよね。この選択肢の少なさが、実はお客にとって買いやすい状況を作ってくれているというわけ。このあたりが東急ハンズとひと味違う、IKEAのすごいところその5だね。

5)やみくもに商品のバリエーションを増やすのではなく、規格をシンプルにして選択肢をあえて絞り込むことによってお客の選ぶ負担を軽減してくれる。そうすることによって、コストも削減できるという一石二鳥を実現している。

「マーケットホール」の終わりが近づくと、またしても風景が変わりはじめてくる。今度のはなにやらハードボイルドな雰囲気だね。初めて見るとけっこう感動する巨大な倉庫の間「セルフサービスエリア」ですね。

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実はオレ、ここが一番好きだね。30歳から2年間くらい、鮫洲のまさにこういう倉庫で働いていたから、すごく親近感が持てるというか、懐かしさでいっぱいになる。でっかい台車に大型商品の詰まった段ボールを載せるときの快感といったらないね。そう、ここはおもに椅子や机なんかが収納されているエリア。もちろん、ショールームでチェックした棚番号を見ながら、お客が自分で取りに行くんですよ。

実はね、ここでもちょっとした面白いハプニングに遭遇する。棚番号に置かれた箱を見ているうちに、「あれ? 先にショールームで見た色違いの方がいいかな?」「うん、その隣にあった別のモデルも悪くなかったな?」なんて迷いが生じてくるのね。ところが、ここには段ボールの箱しかない。もし、別の商品の棚番号を調べたければ、もう一度、長い道のりを逆に歩いてショールームに戻るしかない。「ああ、もっとよく見て吟味しておけばよかった……」なんて後悔先に立たずの状況に陥ったりする。

実際に、オレは最初の訪問時は二度もショールームに戻ったからね。はい、実はこれがIKEAのすごいところその6なんです。辛そうに見えるこの行ったり来たりの行動に、実は人間って弱いんだね。

6)ゲームさながらに展開するIKEAの買い物において、「いかにスマートにそれを行うか」が問われると、人はチャレンジしたくなる。IKEAマスターになってやろうとばかり、効率的な歩き方などの攻略法を考えるようになる。攻略法がわかってくると、ここでの買い物がさらに楽しくなる。

つまり、ここってマニアックなんですよ、実は。オレのようなハマリ症の人間にとって、ほんとヤバイ魅力があるんだね。

うん、こうしてレジの列に並ぶころには数時間が経過しているわけだから、当然、お腹も空くよね。そんな人のために、ちゃんとあるんですよ。レストラン&カフェコーナーがね。

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どうですか? ガストじゃないんだからって突っ込み入れたくなるような価格でしょ。しかも、これ基本的にはスウェーデン料理なんだね。この北欧風というコンテキストをIKEAはとことん守り通している。このあたりも頭が下がる思いがするね。素晴らしい! で、中に入ってみると、想像どおりIKEAルールですよ。この辺までくるとね、ほんと不思議なんだけど、セルフサービスじゃなきゃダメみたいな気分にさせられているのね。もうIKEAワールドにズッポリですよ。またこのカートがかわいいでしょ。

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こいつを引っ張ってスウェーデンの家庭料理のミートボールなんかをお皿に盛ってもらって、レジに行く。ホールにはスタッフなんて1人もいない。その代わりにまた例の説明プレートがあったりしてね。「なぜ、お客さまご自身にお皿の片付けをお願いするのか」「お客さまのご協力により、低コストを実現しています」みたいなことが丁寧に書かれている。

もちろん、こっちはめちゃくちゃ協力的ですよ。そこでね、オレは疑問に思ったわけよ。「なんで、いつも怠惰なオレが、こんなにせっせと片付けなんかやってるんだろう? それも割と気持ちよく」答えが浮かんでびっくりしたね。うん、IKEAのすごいところその7。

7)この店、この場、この価格、このコンテキスト、自分はそれを一緒に作っている一員だという気にさせてくる。IKEAというコミュニティーのメンバーとして、できることをやるのは楽しいという帰属意識が芽生えてくる。

ここがもっとも「今っぽい」とオレは思う。これからのビジネスってこの帰属意識やコミュニティーの一員という気持ちが重要になってくるんじゃないかな。おそらく、IKEAは目に見えるもの見えないものをいろいろ組み合わせて、それらを各所に緻密にちりばめることによってこの難しいテーマを実現しているように思うんですねぇ。

あ、そうそう、忘れてた。レストラン、味の方も格別ですよ。

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帰る前に寄るのがおすすめのフードマーケットも見所の1つ。以前、Twitterで「IKEAにいる」とつぶやいたら、「IKEAのリンゴンベリー(こけもも)ジュースがおいしいですよ」とフォロワーの方に教えていただいた。その絶品ジュースはここで購入できる。

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おみやげには、先のレストランにもあった北欧家庭料理風ミートボールを忘れずに! オーブンで温めて別売りのソースにジャムを付けて食べると、もう、気分はスウェーデンですよ。

そうそう、これだけ広大な面積を誇るIKEAだけど、ゴミがほとんど落ちていないのね。よーく観察していると、ディズニーランドばりにサクサクとゴミをかたづけているスタッフがいる。このあたりもこだわりなんだろうね。さらに、IKEAではスタッフの対応がとても親切。インフォメーションカウンターの女性から駐車場のカーゴ整理係のおじさんまで、なにかを尋ねると、とても丁寧に教えてくれる。「この店を良くしたい!」という思いが全員に行き届いている、そんな感じがしたね。

以上でおしまいといいたいところなんですが、帰宅して買った椅子の箱を空けたらもう1つの衝撃がおまけで付いてきました。最後にぜひ、驚きの解説書を見てほしいな。

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なんと、IKEAのマニュアルってテキストが1つもないんですよ! 上の図は「1人で持たずに2人で運びましょう」だし、下の図は「わからないことがあったらIKEAに電話してください」でしょ。文章がなくてもわかるんだよね。もちろん、組み立て図にもいっさいの説明はなし。すべて図解で表現している。しばらくこの変なマニュアルを眺めていたら、謎が解けたね。本当はその8なんだけど、7という数字が好きなのでオマケにしておきます。うん、やっぱりIKEAはすごい。また、来週末も行くよ!

オマケ)マニュアルに文章を一切使わないことによって、各国語対応に翻訳するコストを削減できる。さらに、その副産物として、究極の「誰にでもわかる解説書」ができあがる。

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