A1サイズの巨大手書きアイデアスケッチ 〜 Jot!

 

iPadにはいろいろな魅力があると思うのだけど、やっぱりオレは「アイデア発想ツール」としての可能性を強く感じてしまうんだね。このブログでもなん度かこのジャンルのアプリを紹介してきた。拙著『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』の第8章でも、アウトラインプロセッサー、アウトラインマップ、イメージボード、ウェブアノテーションについて書いた。

今日紹介するのも、アイデア発想ツールの1つ。最近、オレがとくに気に入ってる手書きのアイデアスケッチノートだね。なにがすごいって、これまでiPadのアプリに抱いていた2つの不満を見事に解消してくれたんです。ちょっと高価だから、気軽に試すってわけにもいかないけれど、とにかくよくできてますよ!

まずは、オレがiPadのアイデア発想ツール、とくに手書き系のアプリに抱いている2つの不満について書いておきますね。

  1. 描ける面積が狭すぎる
  2. 再編集できるフォーマットでiPadの外部にファイルを保存できない

1はこの手のアプリを使ったことがある人なら、理解してもらえると思います。iPadの画面って紙でいうならほぼ「B5」くらいの大きさなんだね。いわゆる普通のノートやレポート用紙がA4サイズだからね。加えて、スタイラスだとあまり小さな文字や図形は描けないでしょ。なんかチマチマしている感じがするんですよね。

2もけっこう深刻な悩みだね。MindMeister for iPadのようにクラウドサービスと連携していれば問題ないのだけど、アプリ単体で使う場合、仲間に編集中のアイデアスケッチを渡して手を加えてもらうってのができない。たいていは画像かPDFでの書き出しだからね。

そんななか、本当に偶然にもこの2つの不満を見事に解消してくれるアプリを見つけました。ひさびさに「こいつは可愛いい」と思えてしまう優れものです。

A1サイズにのびのびとアイデアを描いていける
Jot! (1,200円:iPad版のみ)
Jot!

はっきりいって高いです。1,200円だからね。アプリの値段にカンマを使うのはひさしぶりって感じがします。よほど必要だと思わないかぎり買わないですよね。でもご安心を! 無料版があるんですよ。アプリ内に1ファイルしか保存できない制限があるんだけど、あとで紹介するメール送信機能を使えばなんとかなります。

Jot! Free (無料:iPad版のみ)Jot!

うん、この記事を読んで試しに使ってみたくなったら、まずはこの無料版をインストールしてみてください。でもって、ヤバイと思ったら太っ腹で1,200円つぎ込んでみるといいと思いますよ。

最初にアプリを起動するとマニュアルが出てきます。

これ自体がJot!で描かれているんだね。なにができるかを感じるのにももってこい。有料版なら、左ツールバーの[※+ページ]アイコンをタップすると新規のページが出てきます。無料版はアプリ内にファイルを保存できません。[ゴミ箱]アイコンをタップして、マニュアルを削除すれば白紙になります。

マニュアルが消えるのが困るという方は、[四角+矢印]アイコンをタップして、[Email As Image]で自分宛にメールしておきましょう。

はい、これがJot!のキャンバス。ここに手書きの線や図形と、キーボード入力によるテキストを入れていきます。まずは、オレがよくやる方法でアウトラインマップを描いてみます。

※「アウトラインマップ」は『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』で使っているオレの造語です。アウトラインをマインドマップ風に表現したものですね。ものすごく奥が深いマインドマップに敬意を表して、あえて「アウトラインマップ」と呼ぶことにしました。

実は、いま画面に見えている白紙部分は大きなキャンバスの一部でしかありません。2本の指でピンチインして最小まで縮小します。これがJot!の作法、その1です。

Jot!の作法その1:2本指で画面をピンチイン、ピンチアウト→キャンバスの縮小、拡大

はい、キャンバス全体はこんな感じのほぼ正方形になっていたんだね。最初に見えていたのは左上の部分。こうして全体を表示させておいて、中央を2本指でタップします。

かなり小さいのですが、テキスト入力エリアが現れて、キーボードが出てきます。最初にこれから描くアウトラインマップのテーマを文字で入力します。Jot!の作法、その2ですね。

Jot!の作法その2:2本指で画面をタップ→テキスト入力

入力が終わったらキーボードを閉じます。文字が真ん中からずれていたら位置を修正します。ちょっとピンチアウトして、画面を拡大し、文字を一度タップしたまま動かしたい位置にドラッグします。テキストをつかみ損ねると、線が引かれてしまいますが、左ツールバーの一番上「矢印]アイコンをタップするとアンドゥーできます。

Jot!の作法その3:文字や線をタップしたままドラッグ→要素の移動

文字がほぼ中央に来たら、ピンチアウトで思いっ切り拡大します。左下の色パレットから好きな色を選び、文字をいい感じの形に囲みます。もちろん、スタイラスを使って!

英語のフォントがことのほかいい感じだよね。日本語は普通のゴシック体になります。オレはやっぱりJot!を使うなら英語で書きたいですね。

中央のテーマから最初のブランチ(枝)を描きます。色を変えたければ、左の色パレットで変更します。Jot!では、線の太さや種類は変えられません。

空白部分の適当なところで2本指タップをします。作法その2のテキスト入力ですね。キーボードでこのブランチに乗せたいワードを入力します。

入力が終わったらキーボードを閉じてテキストをタップしたまま、ブランチの上までドラッグします。作法その3の移動ですね。

右側のスペースがやや物足りなくなったので、キャンバス全体を左に動かしてみました。白紙部分に指を2本置いたまま、左側にドラッグします。

Jot!の作法その4:2本指でキャンバスをドラッグ→キャンバスを移動

最初のブランチから小ブランチを出し、空白部分を2本指でタップしてここに乗せたいテキストを入力します。

上の図のように、テキスト入力エリアが小さいために文字が折り返してしまったら、右下の青い丸を右側にドラッグします。

はい、これで1行になりましたね。あとは同様に、ブランチを描いたり文字を入力したりすればマップの完成です。

オレは下手なんだけど、慣れている人が描けば、けっこう本格的なマップができそうですよね。これだけ描くのに要した時間は7、8分ですよ。以外と2本指タップでテキスト入力というインターフェイスが使いやすかったりするんですね。

もし、間違って線を描いてしまった場合は、消したい線をタップしたままにすると、線が点滅し始めて右下にゴミ箱が現れます。

そのままゴミ箱までドラッグすれば消去できます。ただし、選べるのは一筆単位。色を塗りつぶした場合などは、筆数分を選んでゴミ箱に入れます。テキストも同じ方法で消せますよ。

Jot!の作法その5:要素をタップしたままゴミ箱が見えたらそこにドラッグ→要素の消去

さらに、要素をまとめて選択して移動したり、ゴミ箱に入れたりすることもできます。選びたい要素の左上の空白部分をタップしたままにすると、指の下にグレーの丸印が現れます。そのまま、移動や消去したい部分まで選択領域を広げます。

グレーの四角で囲まれた部分が点滅していれば選択成功。ゴミ箱も現れます。点滅しない場合はやり直しですね。移動の場合は点滅している要素をドラッグ。消去ならゴミ箱まで持って行きます。

緑のブランチごと動かしてみました。もとに戻す場合はアンドゥーの矢印をタップだね。

Jot!の作法その6:要素の左上をタップして指の下に丸印が出たら囲みたい部分までドラッグ→要素をまとめて選択

ここからがおもしろいところですよ。試しに完成したマップの周りを赤い線で囲んで、これがキャンバス全体でどのくらいの面積を占めているのか見てみましょうか。

かなり適当だけど、おおよそマップ全体を線で囲んで、2本指でピンチインして最小まで縮小してみると……

うわっ、広い! だいたい、最初に描いていたマップの9倍弱の面積があるじゃないですか。これ、画像にしてメールで送ってみましょうか。でもってパソコンで開いてみて実際のサイズがどのくらいか見てみたいよね。

最初にマニュアルを送信したのと同じく、左ツールバーから[四角+矢印]アイコンをタップして、[Email As Image]を選びます。せっかくなんで、Evernoteに送っちゃいますか。Evernoteのアプリを立ち上げて、右下の[パラボラアンテナ]アイコンをタップ。[Evernoteのメールアドレス]に描かれているアドレスを入れます。

Evernoteに登録された画像をプレビューで開いてサイズを見てみると……

「722.49ミリ×677.69」ミリですよ。紙のサイズで比較すると、A1が「594ミリ×841ミリ」、B1が「728ミリ×1030ミリ」だから、だいたいA1とB1の間くらいの大きさってことだよね。A1ってのはコピー用紙なんかでよく使うA4の8倍の大きさだからね。これは広いわ!

厳密には、画像のサイズとJot!で描いているサイズがまったく同じではないかもしれないけど、そもそもiPadの1画面分を使って描いた先のマップが全体の9分の1なわけだからね。まだまだ上下左右にブランチを広げていけるってことでしょ。これならオレの不満だった「描ける面積が狭すぎる」は見事に解決だよね。いやぁ、本当にすごい!

ちなみに、先に9分割した赤い線を消して、マップ部分のみをEvernoteに送るとこんな風になります。

ね、描いた部分だけを切り取って画像にしてくれてますよ。キャンバスが広いからといって、いつでもA1サイズを送るわけじゃないってことだね。このアプリ、賢い!

さて、次はもう1つの不満、「再編集できるフォーマットでiPadの外部にファイルを保存できない」を解決してもらいましょうか。Jot!の左ツールバーからもう一度[四角+矢印]アイコンをタップして、今度は[Email As Jot File]を選びます。

なんとも期待できそうなメニューだよね。今度はEvernoteじゃなくて自分宛に送信しますよ。

iPadのメールを立ち上げてこのメールを受信してみると……

なんと! アイコンがJot!になっているし、タップすると[”Jot!”で開く]なんて出るし。これはもう開いてみるしかないよね。

すごいね。再編集可能なのはあたりまえ。加えて、拡大や縮小、図の位置まで送信した際とまったく同じに再現してくれてる。こういうのを待ってたんです。クラウドサービスはないけれど、Jot!を持ったメンバー同士なら、かなり楽に共同作業ができそうじゃないですか。早くこれを使ってだれかとなんかやりたいなぁ。

アウトラインマップだけじゃなく、たとえばウェブのサイトマップとか……

オレはあまり好きじゃないけども、よくあるこういうマトリックスとか……

いろいろ描けてしまいます(それにしても、オレが描くと小学生の図みたいになるのはなぜだろう?)。

有料版は左メニューの[2枚のページ]アイコンをタップすると、作成したアイデアスケッチの一覧が見られます。

それぞれのスケッチの右下にある[+]アイコンをタップすると……

スケッチを一発で複製できます。ツールバー右上の[Edit]をタップするとスケッチの左上に選択ボックスが現れます。チェックを付けてツールバーの[Delete]をタップすれば、スケッチの削除。いわゆるファイルマネージャーですね。

無料版にはこの機能がありませんが、作成したスケッチをすべて自分宛にメールしておけば、いつでもJot!で開いて手を加えられます。

以上がオレのお気に入り、Jot!のすべてですね。スタイラスを使った描画の反応もバッチリですよ。線の太さが変えられたら、これに加えて手書きでも文字が書けるんだけどね。フォントがおしゃれだから逆にできなくてもいいかな。そうそう、色はあと5色くらいほしいですねぇ。4色じゃちょっと少ない。

A1サイズのキャンバスと再編集可能なフォーマットの読み出し。個人的にはすべてのアイデア発想アプリにはこの2つの機能を付けてほしいと思います。それがどれだけ便利かを、ぜひ、このJot!で味わってみてください。では、また!

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