GoodReaderの新アノテーションで行う「クラウド校正コラボレーション」

 

iPhoneやiPadに絶対入れたいアプリを10個選べといわれたら、間違いなくラインアップに加える1つが「GoodReader」だね。オレの場合、用途はおもに文書の閲覧。とくに、PDFビューアーとしてかなり頻繁に活用している。そのGoodReaderがこのたびメジャーバージョンアップを果たし、強力な機能を追加した。

なんと、註釈やマーカー、手書きによるコメントの追加など、アノテーションに対応したんだね。これからは、GoodReaderでバリバリと文書を校正するようになるのかと思って使ってみたら、ことはそう単純じゃなかった。もっと高度な「校正コラボレーション」の一員として活躍するんじゃないか。今日はそのあたりを詳しくお伝えしようと思います。

iPadを使って、PDF文書に手書きで註釈や訂正を入れるテクニックは、拙著『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』の第3章でも取り上げている。使用するアプリはこれ。

文書の校正をデジタル化する高度なアノテーションアプリ
iAnnotate PDF (1,200円:iPad版)
iAnnotate

高価なアプリだけあって、アノテーション機能の充実ぶりはすごい。加えて、拙著を執筆中にはなかったDropboxへの対応も果たし、グループのメンバー間で文書を回覧しながら註釈や訂正を入れて行くコラボレーションがとても楽になった。

ファイル名の文字化けなど、日本語対応に問題があるものの、オレとしてはPDFの校正ならやっぱりこのアプリがイチオシだね。

そんな中、あのGoodReaderがアノテーションに対応したというから、興味津々でアップデートしてみました。はたして、高価なiAnnotate PDFはもう不要になってしまうのか?

そのあたりを注目しながら、GoodReaderの新機能を見ていきたいと思います。そうそう、今回、アノテーションに対応したのはiPad版だけだね。まぁ、iPhoneでやるにはちとキツイからあたりまえといえば、あたりまえ。

※と書いたらiPhone版も1日遅れでアップデートかかって対応していました!

クラウド連携もバッチリの多機能ファイルビューアー
GoodReader for iPad (115円:iPad版)
GoodReader
GoodReader for iPhone (115円:iPhone版) GoodReader

まずは、PDF文書をGoodReaderに読み込みます。今回はDropboxを拠点にやってみましょうか。[Connect to Server]からDropboxを選んでPDF文書をダウンロードします。

ダウンロードが終わったらファイルをタップ。ビューアーに文書が表示されます。

手書きの訂正を入れる場合、画面はできるだけ広く使いたいよね。横置きにして、画面いっぱいに書類を広げて表示させるのがおすすめです。これまでは、ここで2本指ピンチアウトで拡大していたのだけど、今回のアップデートでちょっと便利な機能が付いたんだね。

左上の[My Documents]をタップして、ホーム画面に戻ります。下部ツールバーから[歯車]アイコンをタップ!

[Viewing PDF files]から[Fit page to width]を[ON]にします。これで再度、先に開いたPDF文書をタップすると……

はい、一発で横幅ギリギリまで拡大表示されたね。開発者の真意はわからないけど、アノテーション機能が追加されたタイミングでこの機能が付いたということは、やっぱり註釈や訂正を入れやすいようにとの配慮だとオレは思いますね。なかなかやるなといった感じ。

じゃあ、この文書にアノテーションを入れていきます。といっても、上下のツールバーにはそのためのアイコンはないよね。アノテーションツールバーを表示させるには2つの方法があります。

  1. テキストなどの文書の要素を長押しする。
  2. 空白の部分を長押しする。

1と2では、メニューの中味が異なります。まずは、テキスト部分を長押ししてみると……

6つのメニューが出てきたね。それぞれの意味は次のとおり。

  • Copy:クリップボードにコピー。これも以前にはなかった機能。
  • Select All:文字通り、すべてを選択。
  • Note:註釈を追加。
  • Highlight:マーカーを追加。
  • Markup…:さらにメニューが出て「線」系のアノテーションを追加。
  • Draw…:さらにメニューが出て「手書き」系ののテーションを追加。

どうやら、GoodReaderはアノテーションのメニューを全部、このポップアップにまとめたみたいだね。しかも、階層構造のメニューになってる。

じゃ、[Hihglight]からやってみましょうか。メニューをタップすると……

お、なにやらポップアップのメッセージがでてきたね。なるほど。これからアノテーションを入れる文書をどう保存するかを選べるんだね。選択肢は次の2つ。

  • Save to this file:現在開いているファイルに上書き保存。
  • Create an annotated copy:アノテーション用のファイルを複製。

安全を期するなら[Create an annotated copy]がいいだろうね。ただし、複製をたくさん作ってしまうと、バージョン管理が大変になる。とくに、複数のメンバーで文書を扱うなら1つのファイルにしておくのがおすすめです。

どちらかを選んで、えーと、なにやってたんだっけ? そうそう、[Highlight]の続きだ。

まさに、マーカーだね。でもって、一度付加したアノテーションは、もう1つの作法で再設定ができる。

  • 付加済みのアノテーションを軽くワンタップ

上の図は黄色のマーカーを軽くワンタップして出てきたメニューだね。たとえば、[Color]を選ぶと……

カラーパレットが出てきて、マーカーの色を変更できます。[Opne]をタップすると……

このマーカー部分にコメントを入れられるんだね。「もう少し目的を明確に」と入れてみましょうか。右上の[Save]をタップすると、コメントが保存されてポップアップも閉じる。再び、コメントを見たいときは、マーカー部分を軽くワンタップして[Open]だね。

ワンタップメニューの[Delete]をタップすれば、マーカー全体が削除されます。

じゃあ、別の部分のテキストを長押しして、今度は[Markup…]をタップしてみます。

またまたけっこうな量のサブメニューが出てきたね。[Underline]なら……

選択したテキストに下線が引かれます。これもマーカーと同様に、軽くワンタップで[Opne]と[Color…][Delete]のメニューが出てきます。機能もまったく同じね。

[Cross Out]を選ぶと……

選択したテキストに打ち消し線だね。

[Insert]はなんでしょう?

ああ、なるほど。テキストの挿入だね。入れる部分には小さな青い印が付く。

最後は[Replace]かな。ほんと、メニューが多いね。

うん、これは今回、オレがもっとも便利だと思ったヤツ。打ち消し線を引いて、その代わりのテキストを入れるという機能。これがボタン一発でできてしまうのはかなりうれしい。

はい、次はテキストなどの要素じゃなくて、文書の空白部分を長押しします。

出てくるメニューは全部で4つ。このうちアノテーションに関するものは[Note]と[Draw…]の2つだね。機能は先に解説した6つのメニューと同じです。

じゃ、[Note]からいってみますか。

はい、もっとも一般的な「註釈」だね。ポップアップにテキストを入れます。「実際にiPadを使って実演」としてみました。右上の[Save]で保存して閉じると……

こんな風に吹き出しのアイコンに変わります。ちょっとややこしいんだけど、この吹き出しや、先に登場した青い「挿入マーク」は「軽くワンタップ」で中味が表示されるんだね。じゃあ、変更や削除したい場合はというと、「長押し」なんですよ。

最初に出てきたマーカーに付けたコメントは「長押し」→[Open]で表示、「軽くワンタップ」で変更や削除だったでしょ。

このあたりの操作方法が定まっていないのはかなり混乱しますね。オレもいまだに操作方法を間違えてます。

というわけで、この吹き出しを移動させる場合も、「長押し」&「ドラッグ」となってます。

さらに、[吹き出し]アイコンを長押しして出てくるメニューから[Type…]をタップすると……

アイコンを変更できるというわけ。

と、すでに盛りだくさんだけど、ようやくここから手書き系だね。テキスト部分でも空白部分でも、「長押し」で出てくる[Draw…]メニューをタップすると……

全部で5つのサブメニューが現れます。これ、本当に覚えるの大変だよね。まとめておきますね。

  • Line:直線を引く。
  • Arow:矢印を描く。
  • Square:四角で囲む。
  • Circle:楕円で囲む。
  • Freehand:いわゆる手書きメモ。

この5つの要素をすべて入れた画面がこれ!

【ワークショップ内容】という見出から下に全部入ってます。上から「四角囲み」「矢印」「直線」「楕円囲み」「手書きメモ」だね。

四角と楕円はちょっとしたコツがあって、メニューをタップすると大きめの四角や楕円が文書上に現れます。

こいつを周囲の四角をドラッグしながらサイズや形を調整して、全体をドラッグしながら囲みたい部分に持って行きます。

位置が決まったらメニューから[Done]をタップで、囲み完了。実は、けっこうな手間です。[Freehand]を選んで手書きでやったほうがはるかに楽かな。でもって、手書きメモの性能は?

うーん、とくにこのブログでは超できのいい手書きメモアプリを紹介してきたからね。それらに比べると、やっぱり書きにくいってのが正直なところ。スタイラスの認識もイマイチかな。決して、使えないレベルではないけどね。

はい、今日はここからが重要な部分。単に、「GoodReaderでアノテーションができるようになりました」ってんじゃつまらない。これを実践でどう活用するかを模索しなくちゃね。いろいろやりながら探っていきましょう。

まずはアノテーションを入れ終えたファイルをDropboxに戻します。ホーム画面に戻って[Connect to Servers]からDropboxを選択。アップロードしたいフォルダーを開いたら、右下の[Upload]ボタンをタップします。

アノテーションを付けたファイルの左側にある[丸印]を緑色にして、右下の[Upload 1 Item]をタップします。これで、Dropboxにアノテーション付き文書が保存されました。

じゃ、今度は冒頭に紹介したiAnnotate PDFでこの文書を開いてみます。度重なるアップデートでコイツもDropboxに対応しましたよ。画面左上の[下向き矢印]をタップします。

[フェッチ]ウィンドウから[Dropbox]をタップ。まだ、Dropboxのアカウントを設定していない場合は[新しいアカウント設定]と表示されます。これをタップしてDropboxのアカウントを入れればOKだね。

先にGoodReaderから保存したアノテーション付き文書を読み込んでみると……

はい、マーカー、打ち消し線、註釈、手書きメモがすべてiAnnotate PDFでも閲覧できます。マーカー部分に入れた「もう少し目的を明確に」のコメントも、

「実際にiPadを使って実演」の註釈も、すべて確認できています。また、これらの要素はiAnnotate PDFからでも選択でき、削除や変更もOKです。ただし、[Insert]と、オレのお気に入りだった[Replace]で入れたテキストは表示されませんね。「青い印」も見えなくなってる。

次に、iAnnotate PDFからも新たなアノテーションを追加してみます。別のメンバーが手を加えているようなイメージだね。まずは、最近のアップデートで加えられた「スタンプ」機能で「OK」の印を押してみようかな。

でもって、こちらも手書きで若干の校正を入れてみます。

うーん、やっぱり手書き校正はiAnnotate PDFのほうがやりやすいね。その他のアノテーションも、ツールバーが画面に並んでいるこちらのほうが手早く入れられる。

校正が終わったら、もちろんDropboxに保存です。上部ツールバーから[上向き矢印]をタップして[アカウントにアップロード]を選ぶと、[Dropbox]など、設定しておいたクラウドサービスが出てきます。これをタップすると、最初にダウンロードしたファイルに上書き保存されます。

次のシチュエーションはパソコン。Dropboxからダウンロードしたこの文書を、アドビのアクロバットで開いてみます。

はい、GoodReaderで入れたアノテーションは、[Insert][Replace]のテキストや「青い印」も含めて、すべて表示されています。iAnnotate PDFで加えた校正やスタンプもすべて見えてる。どちらで入れた要素もすべて選択可能。削除や再編集ができるということだね。

アクロバットでも、さらにアノテーションを追加します。

かなり多くの要素が入ってきたのでわかりにくいかもしれませんが、【対象】の見出に「もう少しターゲットを絞り込んでもいいのでは?」という註釈を入れ(黄色部分)、「プライベートだけでなく」という赤字も入れてみました。アクロバットでの赤字は上図のようにテキストになります。

またまた、文書をDropboxに保存します。こういう場合は上書きがいいでしょうね。

次のメンバーもDropboxから自分のパソコンにこの文書をダウンロードして、今度はMacのプレビューで開きます。

しかし、これだけ赤字を入れられる文書ってどれだけひどいんだって感じになってきましたが、なにはともあれ、これまでのアノテーションが見事に表示されていますよね。プレビューだと、コメントや註釈が左のペインで見えるのはかなり便利。ただし、こちらも[Insert]と[Replace]はダメですね。

Macに付属の標準ソフトだけど、プレビューのアノテーション機能もあなどれませんよ。[ツール]メニューから[註釈]を選ぶと、GoodReaderと同様のことができてしまいます。ここでは、【ワークショップ内容】の1行目にある「真ん中に」を「中心に」に修正する赤を入れました。

かなり長い校正の旅を経た、赤字だらけのこのPDF文書をもう一度、GoodReaderで見てみます。おっと、その前に、バージョンアップ前の旧GoodReaderで開いてみましょうか。

なんと無残な……。あれだけ入れたアノテーションが跡形もなく消えてますよね。つまり、ちょっと前までのGoodReaderは校正コラボレーションには使えなかったというわけです。

もちろん、現バージョンなら問題なし。校正が完了した文書をGoodReaderで開くとこうなります。

「GoodReader→iAnnotate PDF→アドビ・アクロバット→Mac プレビュー→GoodReader」と渡り歩いて、赤を入れまくられたこの文書が、今回の仕事術のすべてを語ってくれてます。

つまり、文書を校正するメンバーは、パソコンなら高価なアドビ・アクロバットか無料のMac プレビューなどでアノテーションを入れます。もし、1,200円のiAnnotate PDFを持っていれば、iPadでも校正に参加できます。

この際に、Dropboxを保存場所にすれば、ネット経由ですべてのメンバーが同じ文書にアクセスできます。

でもって、iAnnotate PDFがなくても、わずか115円のGoodReaderを持っていれば、一部の機能を除いて互換性の保たれた校正コラボレーションに参加できてしまう。これが、今回のアップデートでもたらされた最大のメリットだとオレは思うなぁ。

今回のレビューの中で、実はチクチクとGoodReaderでアノテーションを入れることの不便さを書いてきました。なにが言いたかったかというと、すごく前向きな意味でGoodReaderはアノテーションを閲覧するのに向いているってこと。

主たる校正はアクロバットやプレビュー、iAnnotate PDFに任せて、最後の閲覧にGoodReaderを用いる。これがオレのおすすめですね。GoodReaderの役割はずばり、アノテーションビューアー。でもって、註釈や修正を追加したければ、GoodReaderでチャチャっとやる程度。つまり、現時点のアノテーションの入れにくさなんてのはさほど問題じゃないということ。

おそらく、これでオールデジタルの校正コラボレーションがまた一歩、現実に近づいたような気がするな。iPadの役割もどんどん大きくなっていくように思う。たかが1つのアプリのアップデートだけど、そういうのが積み重なって、我々の仕事の仕方がドカーンと変わっていくんじゃないかと思いますね。

はい、今日はこんなところで。では、また!

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