本当にDiggできる音楽ソーシャルがiPadにやってきた 〜 Aweditorium

 

Pingという音楽ソーシャルがiTunesに組み込まれてからずいぶん経つけど、オレ自身も含めて、周りで使っている人はあまりいない。やっぱり、メジャーなアーティストを中心にしたソーシャルって、イマイチ燃えないような気がするんだね。「レディー・ガガ最高!」なんてツイートしてもね……。

だれも知らなそうな、でいて才能にあふれる原石を見つけたときに、「こいつはすごいよ!」とみんなに言いたくなる。そういうアーティストを探してさらにDiggする。ソーシャルにはこのあたりの楽しさがないとね。そんななか、かなりはまってしまいそうなiPadアプリが登場した。このところ、プロダクティビティーばかり紹介していたけど、今日はひさびさに音楽ものでいってみたいと思います。

オレがもっともニューヨークのインディーズシーンにはまっていたのは2001年ころ。911事件の直後に、グラウンドゼロ近辺で活動するアーティストを取材したのがきっかけだった。彼らは、口々に、「きな臭い時代になってきたけど、我々はアートをとおして自分たちのメッセージを伝えたい」と語っていた。

なかでもインディーズレーベルを主催するVelour(ベロア)の取材が楽しかったね。オフィスはグラウンドゼロから数十メートルのところにあって、屋上から瓦礫が見渡せたのを覚えている。部屋には何千枚ものCDが溢れていて、当時まだ無名だったSouliveなんかのサンプルを山ほどくれた。

夜はベロアのアーティストが出演するライブにも招待してくれて、そこでオレはものすごい衝撃を受けたんだね。とにかくレベルの高さがハンパじゃなかった。出てくるアーティストはみんな超絶なテクニックを身につけていたいし、楽曲のできも素晴らしかった。

オレの中でインディーズという言葉の定義が完全に変わってしまった瞬間だね。メジャーになるための文法というか、余計な演出を一切加えていない真っ直ぐな音楽。それからしばらくの間は、全米ヒットチャートをまったく聴けなくなってしまったほど。

帰国して数か月後に、タワーレコードにずらりと並んだSouliveのCDを見たとき、「ああ、やっぱり時代はこっちの方向に行くのかな」なんてうれしくなったのをいまでもはっきりと覚えている。

あれから約10年たったいま、TwitterやFacebook、YouTubeにMySpaceなんかが普及して、インディーズを拠点にするアーティストたちは強力な武器を手にしたんじゃないかな。今回、紹介するアプリもそんなソーシャルメディアの1つです。

インディーズの神髄を見せてくれるDiggできるアプリ
Aweditorium (無料:iPad版)
Aweditorium - thesixtyone

このアプリを作ったのは「Thesixtyone」という、ストリーミングとソーシャルを融合したようなサイトを運営する人たち。Thesixtyoneは2008年にリリースされ、インディーズを中心とした数多くのアーティストの作品を流し続けてきた。いまはどうか、正確な情報を持っていないのだけど、たしかあの伊藤穰一氏もボードメンバーに加わっていたんじゃないかな。

今日までなんどか改良を加えて現在のインターフェイスにいたっているのだけど、その見せ方が本当に斬新なんだね。試しに上のリンクをクリックしてみると……

サイトの説明なんか一切なし。いきなり、ブラウザーの画面いっぱいにアーティストの写真が表示され、曲が流れ始める。現在はこのTHE ASTEROIDS GALAXY TOURがトップを飾っているんだけど、画面に出てくる矢印を押していくことで、次々と別のアーティストの楽曲を聴いていける。

この斬新なウェブサイトは、MashableというIT系のニュースサイトで今年のベストウェブデザインに選ばれたりしてるんだね。このあたりの背景を押さえておくと、Aweditoriumというアプリがさらに楽しくなるんじゃないかな。

今日は前置きがかなり長くなったけど、さっそくアプリを立ち上げてみましょうか。

真っ黒な背景に「Aweditorium」というタイトルが表示され、次第に、上図のようにモザイク状のアーティスト写真が浮かび上がってきます。

しばらくすると……

「ヘッドフォンで聴くのがおすすめ!」なんてメッセージが出てきたね。よっしゃ、じゃあ自慢のBOSEのヘッドフォンで聴いてやろうじゃないの。てなわけで、ケースからヘッドフォンを取り出していると……

おお、画面の真ん中に[Tap]という表示がでましたねぇ。こいつをタップしてみると……

モザイク表示から、最初のアーティストがクローズアップされました。画面をタップすると……

おおすごい! 画面の下に歌詞が見えるよ。映画の字幕のように歌に合わせて切り替わります。うーん、これは楽しいね。

そうこうするうちに、このバンド、「RA RA RIOT」についての解説が吹き出しでどんどん出てきます。ヘッドフォンを薦めるだけあって、音質もすごいよ。うーん、アコースティックで全体に薄めの音作り。ちょっと知的な楽曲で、いい感じじゃないですか。

でもって、下部にツールバーも現れました。どれも気になるけど、まずは右から2番目の[HD]ってヤツをタップしてみようかな。

きましたねぇ。ビデオだ。しかも、音も画質もハイクオリティー!

おお、このバンド、チェロのお姉さんがいるんだね。かっこいいじゃない! でもってオレが気に入ったのはこの操作方法。

ビデオを再生中に画面をタップすると、「Pinch to end video」という表示が出る。YouTubeでのビデオ再生だったから、てっきりアプリの切り替えかなと思っていたら、2本指で画面をピンチインすると、前の写真に戻るんだね。

しかも、ビデオの音がフェードアウトして、先に聴いていた楽曲にスイッチする。こういう演出って、この手のアプリでやられるとたまらなくうれしくなるわけです。

そうこうしている間に、次のアーティストに自動的に切り替わりました。このアプリでは、楽曲を切り替える方法がいくつかあります。1つは自動ね。なにもしないで流しっぱなしにしていれば、アーティストの写真も楽曲もラジオのように変わっていきます。

聴いていて「う、これキライ」と思ったら、画面を上下左右にフリック! これで聴きたくないアーティストをスキップできちゃう。最初の画面で表示されたモザイクの並び順に動かせるのもいいね。

さて、次のアーティストは「Toro y Moi」。このまったく知らないアーティストばかりが登場するってのがたまらないね。こういうのをDiggっていうんだと思うな。楽しい!

今度は、下部ツールバーから[ピースマーク]アイコンをタップしてみます。なるほど、これはツイッターとFacebookでシェアだね。それぞれのボタンを押すと、ログイン画面が出ます。

さっそく、この楽曲をツイートしてみると……

はい、こんな感じで投稿されます。自動的に「#nowplaying」のハッシュが付くんだね。リンクをクリックすると、Aweditoriumのウェブサイトにジャンプして、このアーティストの楽曲がチェックできるというわけ。追加のコメントは入れられないみたいだね。

一方、Facebookの場合は、コメントを付けられます。でもって、こんな感じの投稿になる。

今回はコメントなしでやってみました。ちょっとわかりにくいから、なにか入れたほうがいいかもね。Facebookだと、上のようにオーディオ再生のコントローラが表示され、その場で楽曲を聴けます。これはてっとり早くていいね!

ツイッターやFacebookに投稿された数は「Shared by 30 earthings」のようにカウントされる。つまり、この数を目安にすれば、人気曲を見つけられるってことだね。

はい、次のアーティストは「Dream」。後期のビートルズにSmithを混ぜておとなしくしたような感じのバンド。アジア人が1人混じっていたりして、なんか独特の雰囲気があります。ちょっと気に入ったので、ツイートしときます。

じゃ、次は下部ツールバーから[吹き出し]アイコンをタップしてみましょうか。

おお、画面左下にビデオがオーバーレイされたね。でもって、内容はアーティストのインタビューだ。自分たちの音楽について解説してたりする。

うーん、これはいい試みだね。インディーズってファンの愛着度が重要な世界だからね。親密感が高いというか距離感が近いのがメジャーと違うところだったりする。彼らの生の声を聴くことで、それが増幅されるよね。おもしろい!

じゃ、次は[ハート]アイコンをタップ!

このアイコンには2つの役割があるみたいだね。1つは「More by this artist」というアーティストの関連情報を教えてくれるもの。同じアーティストの別の曲だったり、別のユニットだったり。このかけもちしてる感もインディーズならではで楽しめる。

ポップアップウィンドウの写真をタップすると、関連する楽曲に移動します。ネットサーフィンというなつかしい言葉を思い出させてくれる感じのインターフェイスだね。こうやって、どんどんいろんなアーティストをたどれるってのもいい。

もう1つは下のほうにある[iTunes]アイコン。これをタップすると……

iTunesアプリに切り替わり、その場で楽曲を購入できちゃいます。やっぱり、こういうときはiOS 4.2のマルチタスクが活躍してくれるよね。この間、もちろん音楽の再生は途切れませんよ。でもって、Aweditoriumに戻るにはホームボタンを二度押ししてアプリアイコンをタップすればいいんだものね。

ただし、すべての楽曲がiTunesで買えるわけではないみたいね。[iTune]アイコンがグレーアウトされてるものはダメ。あと、中には日本のストアでは買えないものもあったりする。

こんな表示が出てくるとがっかりするよね。なんとか、すべての楽曲を日本で買えるようにしてほしいなぁ。

下部ツールバーのいちばん右、[モザイク]アイコンをタップすると……

最初のモザイク画面に戻ります。もちろん、楽曲は流れたまま。この画面を上下左右にフリックしながら、今度は写真を頼りに気になるものを「Explore」していくわけだね。まさにDiggの世界。

ジャケ買いのときのような第六感が試される場面だね。でもって、ツールバーのいちばん右が[地図]のようなアイコンに変わる。これをタップすると、いま再生しているアーティストが表示されるます。

すでにチェックしたものは明るく表示されて……

アーティストの画面を左にフリックして切り替えた場合は、上図のように横一列に聴いていったってことになるんだね。

でもって、左上のレーダーのような小ウィンドウに注目!

グレーの四角はすでにチェックしたアーティスト。このアプリのすべてのアーティストを聴き終えると、ウィンドウ全体がグレーに変わるってことだね。

おもしろいのは色つきの丸。これはAweditoriumをいままさに使っている世界中の人を表しているんだね。黄緑色の丸が自分です。他の人の丸に重なるように画面を左右に動かすと、同じ曲にたどり着けるというわけ。

丸と丸が重なったときに画面の中央に位置しているマスがそれにあたるんだけど、厳密にどれかを見定めるのが難しかったりする。でも、そんなアバウトさが思わぬ曲との出会いを作ってくれていると思えば、それもまた楽しいかもね。

たとえば、あるアーティストにものすごく人気が出たとしたら、おそらくその場所に丸が集中しているはずだよね。つまり、リアルタイムにヒットがわかる仕組みでもあるんだね。丸が集まる場所を目指していけば、いい曲に出会えるかもしれない。うーん、早くそんな場面を見てみたいなぁ。

最後は気になるAirPlayの対応かな。先に紹介した[HD]や[吹き出し]アイコンをタップして見られるビデオにはAirPlay用の[TV]アイコンが付いてたよね。ただ、楽曲を再生するメインのウィンドウにこれがなかった。

そこで、ホームボタンを二度押しして、アプリ切り替えバーを右にフリックしていくと……

はい、オーディコントローラーにはしっかり[TVアイコン]がありました。ここで[Apple TV]などの外部機器を選べば、音声を飛ばせますよ。

どうでしょう、このAweditorium。無料のアプリだしね。音楽好きの方は、ぜひ、試してみてください。この手のインディーズレーベルって、セレクションが命なんだよね。冒頭に紹介したベロアレーベルもそこが完璧だった。いかにいいアーティストを発掘して、レーベル全体のクオリティーや路線をしっかり創っていくかがすべて。

その点、このAweditoriumというか、開発元の「Thesixtyone」はセンス抜群。アプリの中には良質な音楽が溢れている。どこかに新しさを持っているアーティストばかりという印象だね。脳天気じゃなくて、ちょとした陰をまとった楽曲が多いのも特徴。そのあたりがめちゃくちゃクールです。

このAweditoriumで気に入った曲を見つけたら、「http://www.aweditorium.com」のURLが入ったツイートを投稿して教えてくださいね。オレも、しばらくはこいつにはまってしまいそうだから、コレ関連のツイートが増えるかも。そうそう、外でも聴きたいからiPhone版もほしいところだよね。

はい、今日はこんな感じ。いきなりアップデートしたiPadが活躍って感じでうれしいね。でもって、プロダクティビティーもいいけど、やっぱり音楽アプリは楽しいなぁ。では、また!

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