最新スタイラスはグリップ感、アプリとの相性で選ぶ 〜 AluPen、brvsh、i-Sketchほか

 

どんな分野でもいえるのだけど、仕事に使う道具というのは気合いを入れて選ぶものだよね。板前の包丁しかり、ヘアメイクの鋏しかり、あるいは音楽家にとっての楽器もしかり。オレにとってのスタイラスも、それに近いものがある。伝説のモレスキンによるメモ術をiPadでデジタル化して、仕事で活用しようとしているわけだからね。

このブログでも紹介してきたプリンストンやプロテックのスタイラスは、十分、実践に耐えるものになっている。でも、それで妥協するわけにはいかない。もっといいもの、さらに理想に近いものを求める逸品探しの旅に終わりはないんだね。そんなわけで今回も、以前から一歩も二歩も進んだ優れものを集めてみた。アプリとの相性やグリップ感など、新たな視点も交えてたっぷりお届けしたいと思います!

すでに、20種類を超えるスタイラスを触ってきたんだけど、使っているうちに、選び方の基準というか視点みたいなものが増えていっているように思うんだね。最初のころ気になっていたのはこれ。

1)スタイラスの反応

まぁ、この製品にとっての命ともいうべき、最重要課題だね。万年筆やボールペンで紙にサクサクと書いていく、あのスピード感がないと使いものにならない。このブログで過去に取り上げてきたのも、「反応」をクリアしたスタイラスばかりだった。

でもって、優れた手書きメモアプリがどんどんリリースされてくると、「反応」という基準にもう1つ新たな視点を加えなきゃいけなくなってきたんだね。

2)アプリとの相性

本当に不思議なんだけど、あるアプリではものすごく反応がいいのに、別のアプリだとまったく使えないなんてことがあるんですねぇ。もちろん、なかにはとても優秀な万能選手もいるけど、「このアプリならこのスタイラスが最適」ってのもあったりする。よく使うアプリが決まっているなら、この部分に注目するのがおすすめだね。

それから、これも使い込んでいくうちに見えてきたことだけど、幼少のころから培われてきた「紙に書く」作法によって、スタイラスの好みが分かれるんだね。

3)筆圧(ペン先の堅さ)

市販されているスタイラスはペン先の堅さでおおよそ3つに分類される。柔・中・硬だね。これを、「紙に書く」強さ、筆圧とうまくマッチさせると、自分に合ったスタイラスが見つかるように思う。筆圧の強い人は「硬」、弱い人は「柔」みたいな感じでね。

さらに、今回紹介するスタイラスの中には、これまでなかった別の使い勝手からアプローチしてきたものがある。それがこれ!

4)グリップ感

従来のスタイラスは携帯性を考慮してか、細くて小振りなものが多かった。書きにくいってほどでもないんだけど、日ごろ使っているボールペンなんかに比べると、やっぱり多少の違和感はあったよね。この点を解決するために、市販のペンフォルダーに導電スポンジを取り付ける自作スタイラスという解決策なんかも登場したりしてね。

で、最近は携帯性を一切無視した、とにかく手にしっくりくる筆記用具タイプってのがトレンドになっているように思う。今回のイチオシも、実はこのタイプなんですね。

さて、以上の新基準を踏まえた上で、さっそく最新のおすすめスタイラスを紹介したいと思います。実は今回、拙著『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』のハッシュタグ「#iCre」に寄せられた情報にずいぶん助けられました。ご本人の許可を得て、情報提供いただいた方のアカウントなども記したいと思います。やっぱり、ソーシャルの力はすごいね。

最高の反応とずっしりとしたグリップ感
AluPen
(Just Mobile)

価格:2,480円(OUTLOUD価格)
筆圧:中
グリップ感:◎
アプリとの相性:

Penultimate
NoteShelf
UnderscoreNotify
smartNote
MUJI NOTEBOOK
SpeedText HD
FastFinga ◎
TouchWritter ◎
GoodReader

今日はおいしいところからいきましょうね。ズバリ、こいつが今回のイチオシです! こちらは、#iCreにたびたび登場いただいているスタイラスマイスターの1人、「@orcafe」さんから情報をいただきました。

まずは、製品が届いてその高級感にびっくり。梱包を開けてみると……

なんと、アップルの製品かと思うような豪華な箱が登場します。しかも、iPadに堂々と乗っかってる写真がいいよね。まさに、このデバイスで使ってほしいというメッセージが聞こえてきそう。

で、箱を開けてみると、本体はこんな感じになっています。

ペン先は、前回のスタイラス特集で紹介したプリンストンテクノロジーの「Touch Pen」とほぼ同じ感じのゴム製。両製品は反応も書き味も、とてもよく似てますね。筆圧もTouch Penと同じ「中」くらいの人向け。

最大の違いは、グリップだね。両者を比べてみると……

六角形のアルミでできたAluPenのほうが、太くてがっしりした作りになってる。実はこの違いって写真で見るよりも大きくて、オレ的には「ようやくふつうの筆記用具のようなスタイラスをゲットした!」という感じです。ボールペンや万年筆のように違和感なく使えるのがすごい。

オレのスタイラス選びに「グリップ感」という新たな基準が加わったのもこのAluPenおかげ。そうか、持ち手の感覚って、これほどまでに重要だったんだね。

じゃ、気になる書き味をビデオでチェックしてみましょうか。

客観的なデータには基づいていないのだけど、オレの感覚ではプリンストンTouch Penよりも若干だけど反応がいいように思う。さらに、冒頭のアプリとの相性を見ていただくとわかるように、どんな相手だろうと使えてしまうのがすごい。とくに、PenultimateとNoteShelfにおける書き味は芸術的ともいえるね。

唯一の欠点は「重さ」かな。アルミ製だけあって、手にずっしりくる重量感がある。ただ、オレにとってはその重さも欠点じゃなく長所になっているんだけどね。

とくに、プリンストンTouch Penのファンの方は、1,000円ほど高い価格が気にならなければ、ぜひ、こいつも試してみてください。ほんと、一度このよさを味わったら、やみつきになりますよ!

Underscore Notifyお墨付きの好反応&三角グリップ
brvsh Tablet Stylus (Beta Ro Omega, LLC)

価格:24.25ドル(送料込みで2.503円)
筆圧:弱
グリップ感:◎
アプリとの相性:

Penultimate
NoteShelf
UnderscoreNotify
smartNote
MUJI NOTEBOOK
SpeedText HD
FastFinga ◎
TouchWritter ◎
GoodReader

Evernoteと同期する手書きメモとして、一躍、人気アプリの座を獲得したUnderscoreNotify。アプリ画面右上の[四角+矢印]アイコンから[About]を選ぶと、こんなバナーが出てくる。

一番上の薄い文字「brvsh」をタップすると、このスタイラスを10パーセントオフで買えるショップにジャンプします。

めちゃくちゃ高機能なUnderscoreNotifyだけど、実はこのアプリ、かなり癖があるんだね。スタイラスによってはイライラするほど、反応してくれなくなったりする。そこで、アプリ公認のスタイラスなら問題ないだろうと、さっそく購入してみたわけです。

首を長くして待つこと2週間、到着したのがコレ!

箱もケースも一切なし。梱包材を巻いただけのなんともロックな状態で姿を現しました。どうですか、このメタリック感。ギラギラだよね。

先のAluPenがプリンストンTouch Penに似ていたのと同様に、こちらペン先はプロテックのマルチタッチペンPROとほぼ同じ作り。細い金属製の筆状になってます。両製品の大きな違いはやっぱり「グリップ感」だね。

並べて比べてみましょうか。

これだけ大きさが違います。brvshのグリップは三角形の金属製。親指、人差し指、中指がそれぞれの面にしっかりフィットして、手に吸い付くようなグリップ感があるね。

反応はプロテックマルチタッチペンProとまったく同程度。これ、ペン先は同じものを使ってるんじゃないかと思うほど、似ています。というか、本当に同じ感じ。

となれば、反応や書き味はもういうまでもないね。一応、ビデオで見てみましょうか。

ほんと、気持ちよくスラスラ書けてしまいます。でもって、最大のポイントはやっぱりアプリとの相性だね。オールマイティーさは先のAluPenと同程度なんだけど、さすがにメニューから販売しているだけあって、UnderscoreNotifyとのマッチングは最高です。

ペン先が柔らかな筆状だから、筆圧の弱い人におすすめ。つまり、UnderscoreNotifyをメインで使っていて、現在、プロテックのマルチタッチペンProが好きで、筆圧が弱ければ、もうこのbrvshを買っておけば間違いなしということ。

オレはかなり筆圧が強いから、AluPenのほうをイチオシにしているけど、両方のスタイラスで人気投票をやったら、おそらく半々になるんじゃないかな。そのくらいこちらもよくできています。

購入はもちろん、UnderscoreNotifyの[About]からやるのがおすすめ。送料が意外に安くて、日本円にして2.500円程度の総額で入手できますよ。

市販品に勝るとも劣らない驚きの自作スタイラス
ITOYA改造モデル(yoshiki_y)

価格:ITO-YA鉛筆補助軸(379円)+スタイラスペン自由工作セット(986円)
筆圧:中

グリップ感:○
アプリとの相性:

Penultimate
NoteShelf
UnderscoreNotify
smartNote
MUJI NOTEBOOK
SpeedText HD
FastFinga ◎
TouchWritter ◎
GoodReader

続いては、このブログのスタイラス特集には欠かせないDIYスタイラス。なぜ、これだけ多くの市販品があるなかで、あえて自作ものをとりあげるかといえば、上の「アプリとの相性」を見ればわかるとおり、その実力が名だたる逸品たちに勝るとも劣らないからだね。

しかも、今回紹介するのは#iCreのスタイラスマイスターの1人、「@yoshiki_y」さんの作品。先日のアップルストアのワークショップでこの名器をプレゼンとしていただいた。まずは、その外観をご覧あれ!

この、パッケージにキレイに入れてあるあたり、オレはとても感動しました。そうなんです、これ、ITO-YAの鉛筆補助軸を改造したスタイラスなんだね。袋から丁寧に取り出してみると……

どうですか、この完成度。とても自作とは思えない見事な仕上がりです。ペン先には前回の記事で紹介した「スタイラスペン自由工作セット」の導電スポンジを使っているとのこと。縦の大きさをペン先に合わせて、グッと2つ折りにして金属部分に差し込んでいます。

アマゾンなんかで売っている「SANWA SUPPLY TK-P2 導電スポンジ」を使ってもよさそうだね。これまで紹介してきたDIYものよりも、簡単に作れそうなのがいいよね。

でもって、このyoshiki_yモデル、書き味がまたすごい! さっそくビデオで見てみましょう。

ね、この反応のよさには驚きだよね。アプリごとの相性も、先のAluPenやbrvshとほぼ同等だもの。加えて、ITO-YAの鉛筆補助軸のグリップ感がまたいい。なんてったって、いわゆる筆記用具をそのまま使っているわけだから、書きにくいはずがない。

筆圧は中から強の人におすすめですね。オレなんか、まさにぴったりなわけです。DIY好きの方は、ぜひ、パーツを取り寄せて作ってみてください。総額1,000円程度だからね。もし、わからないことがあれば、#iCreでyoshiki_yさん宛にツイートすれば、きっと親切に教えてくれると思います。

それにしてもITO-YAさん、これ製品化しないかな。売れると思うのは、スタイラス好きのオレだけかな?

ペン先を湿らせて使う「キレイな字が書ける」変わり種
i-Sketch
(株式会社コト)

価格:1,800円
筆圧:中〜強

グリップ感:△
アプリとの相性:

Penultimate
NoteShelf
UnderscoreNotify
smartNote
MUJI NOTEBOOK
SpeedText HD
FastFinga ◎
TouchWritter ○
GoodReader

最後に登場するのは、オレのワークショップで知り合った中城基雄(@Motoo_Nakajo)さんが教えてくださった逸品です。中城さんは横浜は鶴見で歯科医を営んでいらして、「問診票」「お伺書」「成約書」などの書類をPDF化し、UnderscoreNotifyで患者さんに書き込んでもらうという、まさにプロのスタイラス使いです。

オレも使ってみてすぐに気づいたのだけど、このi-Sketchというスタイラスはいろんな意味で独自の世界を持っている。正しくは、目指しているというべきかな。届いたパッケージはこんな感じでした。

ね、すでにそんじょそこらのスタイラスとは違った趣があるでしょ。袋から取り出すと……

こんな形をしています。グレーの太い部分がキャップになっていて、これを取り外すと……

ますます不思議な部品に分かれます。写真下の銀色部分がスタイラス本体。黄色の部分がペン先だね。でもって、キャップ部分にもふたが付いていて、取り外すと上のようなスポンジが出てきます。

なんと、このi-Sketch、キャップに納められたスポンジに水を含ませ、ペン先部分でこれに触って湿らせながら使うんですね。なんともユニークな方式だよね。

実はスタイラスって消耗品なんだね。画面との摩擦で、ペン先の形状が変わってきたり、次第に反応が鈍くなったりする。その点を考慮して、i-Sketchはペン先を少しずつカットしながら使うという方法を取り入れている。加えて、水分を含ませることで、書き味がよみがえるというおもしろいアイデアを盛り込んだんだね。

実際に使ってみると、インクにペン先をつけながら使う万年筆のような感じがする。でもって、いい感じの湿り具合になると、反応はこんな感じ。

アプリの相性を見ると、他の3製品に比べて見劣りするように思うかもしれないけど、「○」を付けたものは基本的に問題なく使えます。というか、「◎」はかなり厳しく付けているからね。ほかが優秀過ぎると見たほうがいい。ここに挙げたアプリすべてに「○」が付くスタイラスなんてそう多くはありません。

ビデオでもなんとなく感じてもらえるかもしれないけど、i-Sketchの最大の売りは「字の書きやすさ」だね。秘密はちょっと堅めのペン先にある。ちょうど、サインペンで紙に書くのと同じような感触なんだね。

グリップ感に「◎」を付けたAluPenとbrvshも、それぞれのペン先は普段使っている筆記用具とは若干、ニュアンスが違う。その点、このi-Sketchはかなりアナログのペンに近いものがある。おそらく、今回紹介した中ではもっとも「字がうまく書ける」スタイラスじゃないかな。

筆圧は中くらいから強めの人におすすめ。軽いタッチでも書けるけど、若干、筆圧を強めにしたほうが安定するかな。グリップ感は今回紹介した他の3つに比べるとやや不安定だけど、長さが十分にとってあるから決して書きにくくはないね。

唯一の欠点は、ペン先を湿らすことによって、iPadの画面に書き筋が残ってしまうこと。まぁ、使っていれば指紋だってベッタリと付いてしまうから、気にならないといえばきにならないのだけどね。きれい好きにはちょっと抵抗があるかな。

あとは、デザインですね。もう少し洗練されてくるといいかも。ただし、現在の「試作機」的なルックスを見ていると、このプロダクトには進化の予感が持てる。発想も独自だし、向かっている方向がほかと違うのもわるくない。こういうのがしばらくすると、すごくいいものに化けるんじゃないかとオレは思うわけです。

開発元であるコトのウェブサイトもわかりやすいので、こちらを見てから購入を検討するのがいいかな。

はい、今回のラインアップは以上です。本当はoStylusというこれまた風変わりなヤツも紹介したかったんだけどね。残念ながら3週間待ちとのことで、まだ届いていません。ほかにもいくつか候補があるんで、oStylusが来たころに続きをやりたいと思います。

まぁ、アプリもスタイラスも次からつぎにいいのがどんどん出てきて、本当に道具選びに終わりがありません。このブログで最初に手書きメモとスタイラスを紹介してから、まだ数か月しか経っていないのだけど、その状況はものすごい進化を遂げているよね。

このままいい感じに進んでいけば、中城さんのような実践的なペーパーレス化がますます簡単になるんだろうね。ほんと、楽しみです。では、また!

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4 Responses to “最新スタイラスはグリップ感、アプリとの相性で選ぶ 〜 AluPen、brvsh、i-Sketchほか”

  1. jin 2010年11月22日 at 1:46 PM #

    はじめて投稿させて頂きます。

    Evernoteをtouchで使ってみようかなって思っており、記事が大変参考になりました。

    スタイラスが必要かなって感じますが、これくらいだったら別に万年筆とかボールペンのキャップで事足りるのでは?なーんて考えてます。
    あと、RHODIAの№12くらいを使って、touchを下敷き代わりにしてみるとか?(スキャンが省けるし・・・・)

    どちらにしろ、タッチパネルには良くありませんが・・・・
    万年筆だったらそれほど筆圧が必要ないので、イケるかもしれませんね。

    うまくいったら、また投稿します。

    • zonostyle 2010年11月22日 at 4:40 PM #

      jinさん、コメントありがとうございます。

      記事中にも自作がありましたが、キャップ+導電スポンジで市販品と同等ですからね。ただ、やっぱり売っているものは耐久性が違います。
      ロディア+touch下敷き、結果を楽しみにしています。ぜひ、お知らせください。
      これからも、よろしくお願いします!

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