RSSリーダーほど用途によって好みが分かれるアプリはないでしょう。PulseやFlipboardなどのソーシャルとRSSを統合したeMagazine系、Bylineのようなオフライン特化型。では、あのReederはどこに分類されるか?
オレは「読み飛ばし&あとで読む系」じゃないかと思っています。「いかに素早く数多くの記事をチェックできるか」を突き詰めた最速系といってもいいでしょう。今日は、最近のアップデートでこのジャンルに名乗りを上げたあのアプリを紹介します。

「読み飛ばし&あとで読む系」に必要な要素
「読み飛ばし&あとで読む」とは、大量のフィードから自分に必要な情報をピックアップするために、記事にざっと目をとおしながら、Read It Laterなどの「あとで読むサービス」にガンガン保存していく手法を指します。
情報の重要度など細かいことは気にせずに、とにかく直観に従って収集し、Read It LaterやEvernoteを経由させながらあとでじっくりと見極めと整理を行う。いわゆるGTDの考え方にのっとった情報整理術ともいえます。
バックナンバー『情報発信のための情報収集 ① 〜 準備・収集編』『情報発信のための情報収集 ② 〜 Read It Laterで見極め編』にオレが日々行っている「読み飛ばし&あとで読む」をまとめてあります。
興味がある方はぜひ、ご一読ください。実はこのシリーズ③、④と続く予定だったのですが、最近までオレの手法が日々変わってしまうため、どのタイミングで書くか決めかねていました。いまはかなり固まってきたので、近日中に公開できると思います。
この用途で使うRSSリーダーアプリに求められるのは、最速の操作性と一瞬で情報の概要をつかめる「見やすさ」だと思います。具体的には次のような点にこだわっています。
- 記事の送りが素早く行える
- 記事本文をパッと見て内容が把握できる
- 記事によっては見出しのみで「あとで読む」を判断できる
- フィード単位で「すべて既読にする」ができる
- Read It Laterに送る際の操作がシンプル
現時点でこれらの条件をもっとも多く満たしているRSSリーダーといえば、やっぱりReederなんですね。
とくに、iPad版はほんとうに見事な完成度です。左手で下向き矢印をタップすればスラスラと記事をたどれるし、気になったものは見出しを左にフリックするだけでRead It Laterに保存できます。
一度この操作感を味わってしまうと、なかなかほかのアプリを触る気になりません。
加えて、広めの行間やキレイなフォント、背景のカラーなど、見やすさの点でも他を圧倒しているといってもいいでしょう。
Reederの登場以降も新しいアプリが出るたびに購入して使ってみました。いい線までいっているものもいくつかありましたが、乗り換えたいと思えるような逸品には出会えていませんでした。
そんななか、すでに1週間以上の間、Reederに戻らずに使い続けているだけでなく、ついにオレのiPadのホーム画面に登録されてしまったアプリがあるんです!
アップデートで意地の復活を遂げた!
MobileRSS HD(600円)
すでにこの名前をご存じの方も少なくないと思います。拙著『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』にも登場した老舗アプリですからね。
発売当初は、可もなく不可もなくという感じの平均的なRSSリーダーでした。その後のアップデートでは、こともあろうにReederのインターフェイスをパクってしまい、ユーザーから大ブーイングを浴びせられたこともありました。
オレも「ああ、このアプリは終わったな」と見限っていたのですが、なんとなんと、最近のアップデートで大変身を遂げていたんですね。
しかも、Reederがもっとも得意とする「読み飛ばし&あとで読む系」に乗り込んできて、Reederがやらなかったことにチャレンジしているってのがすごい。
そのあたりに注目しながら、新MobileRSS HDの機能を見ていきましょうか。じゃ、さっそくアプリを起動してみます。

まずは、Googleリーダーのアカウント登録画面。いきなり「Googleアカウントを創造する」なんてすごい日本語に遭遇しますが、このあたりはご愛嬌ということで次にいきますね。

はい、すぐに同期が始まります。左ペインには一瞬でフォルダーと記事の数が表示されます。多くのアプリがダウンロードとともに記事の数をカウントアップするのに対して、コイツはスカッと全体像を見せてくれる感じですね。
ここで最初の注目すべき機能がありますよ。
アプリによってはダウンロードが終わるまで記事にアクセスできないものがあります。このMobileRSSは同期中でも選んだフィードの記事を優先的に表示してくれるんですね。

左ペインの最下部に[更新中]とあるように、まだアカウントを入れてから数秒しか経っていません。
この状態でフォルダー名の左にある[三角]をタップすると、フォルダー内のフィードが表示されます。
でもって、同期の真っ最中であっても、フィードの1つを選ぶと上図のように見出しとサムネイルがどんどん出てくるんですね。まさに「手っ取り早い」アプリなわけです。
左側にブルーの楕円形ボタンが見えます。初期設定では[三本線]すなわち、すべての記事を読み込むようになっています。
上図を見ると、上の2つには記事見出しの左にブルーのドットが付いています。これが未読マークですね。3つ目からはドットなしの見出しが薄く表示されています。こちらが既読の記事です。
[三本線]ボタンを上にスライドさせると……

ボタンのマークが[ドット]に変わり、未読記事だけが表示されます。
やっぱり気になるのは同期の速度ですよね。いくら操作性がよくても、読み込みに時間がかかるようでは「読み飛ばし&あとで読む系」としては失格です。
例によってBest Timerで計測してみました。結果は……

オレの場合、毎日読む記事のほかに「いつか読む」「空き時間に読む」といった放置系の記事が大量にあります。その数ざっと1万以上。
これだけの記事をゼロから読み込むのに要した時間が2分25秒! これはかなりの速さですね。
ちなみに、同じことをReederでやってみたところ……

3分13秒と出ました。Reederも読み込みの速さではかなり上位にランクされるアプリだと思いますが、それを上回るとは!
と思いきや、実はMobileRSSは1フィードにつき50記事しか読み込んでいないということがわかりました。
なるほど。これはおそらくポリシーの違いでしょうね。Reederは最初に時間をかけてもとにかく全部ダウンロードしてあとで待たなくていいようにしてくれる。
対するMobileRSSは最初の待ち時間を極力少なくして、読みながら記事を追加していく。
これはもう用途がはっきりしていますね。オフラインに強いのがReederで、オンラインに向いているのがMobileRSSということになります。
つまり、地下鉄なんかでガンガン読みたいという人にはReederのほうが圧倒的に有利なわけです。オレも移動中にiPhoneで記事をチェックする際はいまでもReederを愛用しています。
MobileRSSが活躍するのは常にオンラインな状態。WiMaxが使えるカフェや自宅ということになりますね。
もちろん、毎日しっかりと記事をチェックしていれば、1フィード50記事という数も決して少なくないはずです。1日に50もの記事を更新するサイトはそうないですからね。
ついつい数日間、貯めてしまうことが多いという人は設定で読み込み記事数を増やしておくのがおすすめです。

左下にある[歯車]アイコンから[設定]画面を出し、[オプション]の[1ページのアイテム数]を[1ページ100アイテム]に変更しておきます。
フォルダー単位、フィード単位で読める
記事の購読はフォルダー単位とフィード単位の両方が選べます。
フォルダー名をタップすると……

フォルダーに登録されたすべてのフィードの記事が時系列に並びます。
フォルダー名の左にある[三角]をタップするとフィードが展開されます。フィード名をタップすると……

フィードごとの記事だけが時系列に並びます。
フィードによっては、本文をしっかりチェックしたいものと、見出しだけを追えば十分なものがあります。
後者の場合、見出しを眺めながら気になるものだけをRead It Laterに保存、チェックし終わったらすべて既読にして終了、とするのが最速です。
この際の操作方法もMobileRSSはよくできています。上図のように記事見出しを真ん中にフリックすれば、いつでも左ペインが姿を現してくれるんですね。
左フリックで記事送り&サムネイルがいい!
次は、本文の操作を見てみましょうか。記事見出しをタップすると……

先ほどまで画面中ほどにあった見出しペインが左に移動して、右側に記事本文が表示されました。
このインターフェイス、どこかで見たことがありませんか? そう、TwitterのiPad版の作法ですよね。
リプライやリツイートを頻繁に行うTwitterでは、必ずしもこの操作法がいいとは思わなかったのですが、読み飛ばしていくだけのRSSリーダーにはわるくないかも?
右ペインの本文を「左フリック」すると次の記事が表示され、記事見出しも自動的に1つ下に移動します。
詳しくはこのあとビデオでお見せしますね。実は個人的にこの操作感がかなり気に入ってしまったんですね。画像の読み込みももったりしていないし、かなりサクサクいける感じです。
さて、ここで同じフィードと記事をReederで表示させてみます。

本文の見せ方はさすがですね。行間の広さも含めて、全体的なレイアウトやっぱりReederのほうが1枚上手です。
注目すべきは「記事見出しのサムネイル」です。これもMobileRSSが好きになった理由の1つですね。
とくに、アプリの記事なんかは見出しや本文を見るよりも画面一発のほうが情報量が多かったりします。パッと見てRead It Laterに送るかどうかを素早く判断できるという点では、このサムネイルの有無が効いてくるように思いますね。
「あとで読む」に送るの操作感は?
本文をガンガン送って気になるものがあったら、Reederの場合は見出し部分を左フリックするだけでRead It Laterに保存できます。
まぁ、このインターフェイスに勝てるアプリはこれからも出てこないでしょうね。これ以上に簡単で速い方法はないと思います。
MobileRSSの場合は、ごくごく普通のやり方で行います。本文右上の[四角+矢印]アイコンから[Read It Later]や[Instapaper]を選択。
ちょっとくやしいので、少しでもこの操作を速くする方法を考えてみました。それがこれです。

[設定]画面の[統合機能のカスタマイズメニュー](これまた変な日本語ですが……)から[Read It Later]以外をすべて[オフ]にします。
これで[四角+矢印]アイコンをタップすると……

こんな風に[Read It Later]しか表示されなくなります。これでリストから選ぶ0.5秒くらいが短縮されるんじゃないかと……。
うーん、あんまり変わらないかな? しかも、Twitterくらは残しておきたいですものね。まぁ、悪あがきということで。
Evernoteアプリに直接送れる!
ちなみにこのMobileRSS、先の[統合機能のカスタマイズメニュー]に[Evernote]なんてメニューがあるんですね。
個人的にはRead It Laterでじっくり吟味してからEvernoteに保存するのであまり必要ないのですが、「これを待っていた!」という人も多いんじゃないかと。
というわけで、先の[Read It Later]オンリーのメニューに[Evernote]も加えてみます。

[四角+矢印]アイコンから[Evernote]を選ぶと……

Evernoteアプリが起動して、新規ノートに記事がクリップされます。ネット経由ではなく、「アプリに送る」というのは好き嫌いが分かれそうですが、オレはわるくないと思います。
最近、Evernoteに対応したRSSリーダーアプリが増えていますが、タイトルとリンクを送るのみといった実際には使えないものが多いんですね。
その点、MobileRSSは上図のように本文に表示された要素をクリップしてくれるため、フィードによってはけっこう使える感じがします。
抜粋のみのフィードを全文に変えてくれる!
「読み飛ばし&あとで読む」をやっていてもっとも困るのが、全文が表示されないフィードに出会ったときですね。
とくに、プロダクト系の記事なのに写真が出てこないなんてのが一番やっかいです。「iPadのオシャレなケース登場」と書かれていても、こればかりは見出しだけでは判断しかねます。
たとえば、こんな記事があったとします。

はい、これ記事全文の抜粋なんですね。Reederで見ても同じです。

ところが、ところが! 上のMobileRSSの画面には[Download full post]というボタンが付いているんです。これをタップすると……

「以降、このフィードは全文をダウンロードするようにしますか? この設定はフィードごとに変更できます」なんてメッセージが出てきます。
[Yes]を選ぶと……

じゃーん、これ以降、このフィードは自動的に画像付きで全文が表示されるようになるんですねぇ。
フィードごとにこの設定をするには、[設定]画面から[Customize full post downloading](これは日本語化が難しかったのか英語のままです)を選びます。

ずらりと並んだフィードから全文を表示させたいものを[オン]にすればOK。いやー、これもほかにはないRSSリーダーの新機能ですね。素晴らしい!
もっとも極端な例では、見出しだけというフィードもあります。

Reederでこんな記事に遭遇したら、見出しをタップしてウェブを表示させるしかありませんでした。

MobileRSSなら、Full Post設定をしておくだけで……

キッチリ本文が読めるようになります。マジで便利ですよ、これ!
ただし、この状態で先のEvernoteに転送した場合、Full Postで表示させた部分はクリップされません。これはあくまでMobileRSS内部の処理ということなんでしょう。まぁ、読めるだけで十分だと思います。
「読み飛ばし&あとで読む」を動画で比較!
最後に、MobileRSSとReederの操作感を実際に動画でチェックしていただこうと思います。やはり、この手のアプリは文章だけでは伝わらない部分が多いですからね。
結論としては、操作感だけを比べるとまだReederに分があるように思います。なんといっても、左フリックだけで「あとで読む」に送れるのはスゴすぎます。
ただ、記事の送り具合やサムネイル表示、加えてフィードごとに設定できる全文表示機能などを総合すると、かなりいい勝負になっているんじゃないかと。
なにはともあれ、ビデオで見比べてみてください。
まずは、Reederから。
左手の親指のみで記事送りと「あとで読む」に保存できるのがいいですよね。やっぱり、コイツは偉大なアプリです。
続いてMobileRSS!
どうでしょう。左フリックの記事送り、なかなかいい感じじゃないですか? フリックというよりは、親指で画面をはじくようにするとサクっといきます。
あと、悪あがきに思えた[Read It Later]だけのメニューも、こうしてみるとそれなりに効果があるような感じがします。やはり、使わないメニューは消しておくにかぎります。
ちなみに、iPad版のBylineや、iPhoneアプリのyReaderでも同様のインターフェイスが採用されています。もしかしたら、この「左フリック送り」はこれからのRSSリーダーアプリのトレンドになるかもしれませんね。
はい、以上がひさびさにしびれたアプリ、MobileRSS HDでした。価格が600円とそれなりに高いですが、広告表示アリ&全機能搭載の無料版MobileRSS HD FREEもあります。
気になった方、とくにReederを愛用している方はぜひ、試してみてください。今日はこのあたりで。では、また!


『できるポケット[公式ガイド]Nozbe クリエイティブ仕事術』
『iPhone×iPad クリエイティブ仕事術』 Twitterは #iCreで!

iPad版Reederのホームでフォルダをピンチアウトすれば、フィード単位で読めますよ。
最初の頃からずっとある機能なので、「フィード単位で読む」っていうのがこのことじゃなかったらすみません。
amさん
ご指摘ありがとうございます。私の勘違いでした。記事、修正いたしました。
また、なにか発見されましたら、教えてください。よろしくお願いします!
抜粋のみのフィードを…ですが、Reader のRと書かれているボタンを押してReadablity を使うとWebのメインのコンテンツ部分を取ってきてくれます。
Readablity自身のサービスの対応具合でたまに対応していないサイトもありますが、順次対応サイトが増えている様です。
derutaTさん
コメントありがとうございます!
はい、Readabilityは私もよく使っています。海外系はおおよそ大丈夫ですね。
本文の例で挙げたInternet Watchなど国内サイトで使えないケースが多いこと、毎回[R]を押す必要があること、これらが改善されればいいと思います。
操作性としては、MobileRSSのFull Post表示とウェブで表示の中間にあたるような印象を持っていました。Google MoblizerやInstapaper Mobilzerと同じような感じでしょうか。
また、ご意見お待ちしています。